【広報コラム】「高井田横穴のココに注目」(2019・10)

公開日 2024年9月12日

 毎年春と秋に開催している「史跡高井田横穴特別公開」では職員と巡る案内ツアーもありますが、各自で自由に横穴を見ていただくことも可能です。その際の注目ポイントを3つご紹介します。
 高井田横穴の見所といえば、人物や船などのさまざまな線刻壁画が挙げられます。ただし、それら全てが6世紀後半頃の古墳時代に描かれたわけではありません。後の時代に描かれた落書きも含まれています。厳密に見分けるのは困難ですが、線自体をじっくり観察すると、迷いなく、かなり深い線刻もあれば、ゆがんで浅い線刻など違いがあります。この違いは線刻壁画と落書きを見分けるヒントになるかもしれません。
 横穴内部で注目してほしいのは、壁と天井の境目にある「段」です。高井田横穴の多くにみられるこの段は、手間をかけて造っているので、特別な意味があったに違いありません。しかし、その目的・用途は不明です。幅が10センチほどあり、小物を置くのにちょうどよさそうですが……。何か思いついたら、職員にご一報ください。
 最後に、横穴の外観です。現在、外から目にしているのは横穴の羨門(せんもん)と呼ばれる部分で、羨門から手前にのびる墓道(ぼどう)の上に幅1メートルほどの石をいくつか架け、羨門が隠れている状態だったとみられる横穴が見つかっています。つまり、現在と古墳時代の横穴とでは、全く違う外観だったのです。当時の風景を想像しながら巡るのも、楽しみ方のひとつといえます。

 史跡高井田横穴公園にて、紅葉とともに、古墳時代の秋風をぜひ感じてください。

第2支群6号横穴の内部

▲第2支群6号横穴の内部

(2019年10月号掲載) 

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