【広報コラム】「柏原の戦争遺跡」(2025・7)

公開日 2025年6月26日

 今年は戦後80年を迎えます。これを機に府内の近代の戦争遺跡の調査・研究成果を紹介する「土木遺産展 軍事と戦争の土木遺産」(6月14日~8月17日)が、大阪府立狭山池博物館(大阪狭山市)にて開催中です。この展示には、柏原市立歴史資料館も参加・協力しています。
 柏原市からは、1997年に柏原市立保健センターの建設に先立つ大県南遺跡の発掘調査で見つかった掩体壕(えんたいごう)に関する写真や資料を出品しています。掩体壕とは、空襲・空爆から飛行機を護るための施設で、大正陸軍飛行場(現在の八尾飛行場)の飛行機を格納するため、1944年前後に飛行場内外に急造されました。見つかったのは掩体壕の基礎部分で、最大幅20m、奥行き15mほどあり、ほかに飛行機のエンジンや油圧部品といった多数の金属片が出土しました。注目は「キ44補助翼作動角測定用定規」の刻印がある扇形の金属板です。「キ44」とは「鍾馗(しょうき)」の愛称で知られる陸軍戦闘機のことで、金属板はその整備用具とみられます。この掩体壕は、飛行場から3.2kmほど離れていますが、部品や整備用具があることから鍾馗を格納し整備していたのでしょう。さらに最近、金属片のなかに米軍機の部品が混ざっていることが判明しました。この掩体壕が当時どのように利用されていたのか、謎が深まっています。
 この掩体壕に限らず、市内にあった軍事施設のことなど、何かご存知の方がおられましたら、ぜひ歴史資料館までご一報ください。

コラム写真_大県南遺跡で見つかった飛行機部品ほか

▲ 大県南遺跡で見つかった飛行機部品ほか

(2025年7月号掲載) 

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