公開日 2021年8月1日
「伝統技術」染色法
注染~浪華本染め~
注染は、明治時代に大阪で生まれた伝統的な染色技法であり、生地の染色したい場所に糊で土手を作り、染料を注ぎ込み染色する技法です。手作業でありながら多彩な柄、小紋などの微妙なタッチや独特の色合いを出すことや、ぼかし等の技法を活かすことで、立体感やなごみを表現することができますが、熟練した技術が必要となります。
この注染は柏原市の古くからの伝統産業であり、2019年には浪華本染めという名称で日本の伝統的工芸品に指定されました。
≪注染の工程≫
1 糊置き
柄の中で染料をつけたくないところに糊をのせます。柄に合わせて糊付けを繰り返す折り返しには相当の熟練が必要で、注染の技法では、この糊置きという工程が非常に重要となります。
2 注ぎ染め
染料を注ぐ部分に土手を作り、土手の内側に染料を十分に注ぎ込んで染めます。表からも裏からも染めるのが特徴です。
3 水で流す
染め終わった生地についた余分な糊と染料を水で洗い流します。
4 干す
水洗いの終わった生地を天日乾燥で立干しします。染め上げられた生地がいくつも干されている様は壮観です。
詳しくは「注染 -浪速本染め-」 公式サイトよりご覧ください。
柏原とゆかた
ゆかたの由来
昔は湯帷子(ゆかたびら)と呼ばれ、公家や武家が入浴や湯上がりに湯気をぬぐいさるために着た麻の単衣のことを言いました。 江戸時代後期に今の木綿地になり一般大衆に広まったようです。
柏原のゆかた地染色の歴史
柏原で布地の染色が始まったのは、明治の末期から大正のはじめごろです。当初は、手ぬぐいの染色が主でしたが、大正13年頃からゆかたの染色が多くなってきました。
染色には、きれいな水が多く必要であったため、旧大和川の川床筋である上市・古町地区に豊富な伏流水を利用した染色の工場が多く建ち並んでいました。
当時は、漂白した木綿を乾燥させるため大和川の堤防上一面に純白の木綿地が干されている光景がみられましたが、現在は、「屋上さらし」といって建物の屋上に櫓を組んで乾燥させる方法と、室内で熱風による方法が行われています。現在では工場の数も少なくなりましたが、伝統的な技法を守りながら、設備の近代化や技術の改良によって現代感覚にマッチしたゆかたが作られています。
現在のゆかた生産
柏原市のゆかたは、最盛期には全国生産量の約25%(約250万反)を占めていました。しかし、最近では中国などから機械染めゆかたの輸入が増加し、全国的にも生産量が減少している中、柏原市においては7社ほどの染物工場で年間約8万反の生産が続けられています。